いまどきの社長は、一見社長なのかどうか、分からないような人が増えて
います。一昔前であれば、「立派なスーツを着ている」「高級車に乗って
いる」ことが社長の象徴でしたが、最近はIT系の若い社長を中心に、ラフな
格好で仕事をする人が増えているようです。
とは言え、やはりパブリックな場面では、それなりの身だしなみが求めら
れます。得意先との商談や商品の展示会などではジーパンにスニーカーとは
いかないでしょう。
実際、視覚から得られた情報は、その人の印象を左右します。
たとえばアメリカの大統領選では、赤いネクタイに白いワイシャツ、ネイ
ビーのスーツという組み合わせが“鉄板”コーディネートと呼ばれています。
というのも赤いネクタイが、候補者の情熱を印象づけ、白のワイシャツは清
廉さを印象づけるからです。
アメリカの社長や弁護士、医師などのエグゼクティブは、専門の「イメージ
コンサルタント」を雇って、体型や肌色などに合わせた服装や表情など、見た
目の印象づくりに気を使うことが当たり前になっています。日本でも士業やコ
ンサルタント、高額商品を扱う営業マンなどがこうしたアドバイスを受けるよ
うになってきました。
「見た目」は融資を左右することもあるようです。ある中小企業のコンサル
タントによれば、金融機関が融資をする際には、そのトップの人となりのほか
身なりなども考慮すると言います。中には融資をうまく引き出すためにどんな
服装をすればよいかアドバイスしているコンサルタントもいるようです。
年齢を重ねた経営者はグルーミングも重要になります。先ごろ退任したサッカ
ーの「なでしこジャパン」の佐々木則夫監督は、就任中は出掛ける前に、鏡の前
で寝癖や鼻毛、シャツのシワを入念にチェックしていたと言います。選手の前で
いかにいい話をしても、鼻毛が1本出ているだけで説得力を持たなくなるからだ
そうです。これは女子選手だから、ではありません。男子も同様です。髪型だけ
でなく、肌ケアは若い男子の常識となっています。中小企業にとって社長は、会
社のイメージアイコンであり、広告塔です。社員や取引先から好印象を得るビジ
ュアルづくりを、身だしなみとグルーミングから見ていきます。